――三日後、聖ディーア神殿。篤の霊廟。


 愛美が篤の棺に新しい花を供える。
 眠る双子の兄に、愛美は静かに語りかけた。

「兄さん、わたし、もう大丈夫。もう、兄さんを心配させないわ」

 愛美の指先が、篤の冷たい頬に触れる。

「変わらずね、泣き虫だけど――、こうやって兄さんに会いに来てしまうけれど、でも、気づいたから。わたしにはシルマリオンが、フィランダーがいてくれる。それに、兄さんの魂を継いだあの子も」

 くすりと愛美は愛らしい口元をほころばせた。

「兄さんにはちっとも似てないけれど、ううん、だからこそ、より深く、半身である『A』の魂を感じるの。可笑しいかしら」

 篤の優しい声はしない。
 けれど、愛美の心には確かに篤の声が響いていた。

「だから、大丈夫。兄さんは、ここで待っていてね。一緒に、日本に帰るその日を」

 愛美は篤の頬をなでると、棺に背を向け、歩き出した。

 霊廟の扉を開けると、眩しい陽の光が差し込む。愛美は思わず右手を上げて、目を細めた。

「ねーちゃーん!」

 呼び声に頭をめぐらせると、陽だまりの中にアークが立っていた。

 シルマリオンとフィランダーも顔を出して手を振る。

「おいで、アミ、一緒にお茶にしよう」

「きょ、今日のお茶うけは、く、クッキーだって」

 へへー、といたずらっぽく笑って、アークが叫ぶ。

「早く来ないと、食っちまうからなー!」

 愛美の唇に浮かぶ笑み。

「今、行く!」

 元気に答えて、愛美は仲間達の元へ走った。

 四人の胸元で、騎士の首飾りが、美しい聖光を放っていた。


CAST

聖剣の騎士 アーク
聖杖の騎士 若槻愛美
聖弓の騎士 シルマリオン
聖魔の騎士 フィランダー

聖剣の騎士 若槻篤

巫女姫 ディアナ

商人

神殿兵



腐鬼のギュンター
呪鬼のバルタザル
破鬼のインゴ

冥王オスヴァルト



監督 BEE(メェ)
キャラクターデザイン MEZASU(めざし)



















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