愛美が篤の棺に新しい花を供える。
眠る双子の兄に、愛美は静かに語りかけた。
「兄さん、わたし、もう大丈夫。もう、兄さんを心配させないわ」
愛美の指先が、篤の冷たい頬に触れる。
「変わらずね、泣き虫だけど――、こうやって兄さんに会いに来てしまうけれど、でも、気づいたから。わたしにはシルマリオンが、フィランダーがいてくれる。それに、兄さんの魂を継いだあの子も」
くすりと愛美は愛らしい口元をほころばせた。
「兄さんにはちっとも似てないけれど、ううん、だからこそ、より深く、半身である『A』の魂を感じるの。可笑しいかしら」
篤の優しい声はしない。
けれど、愛美の心には確かに篤の声が響いていた。
「だから、大丈夫。兄さんは、ここで待っていてね。一緒に、日本に帰るその日を」
愛美は篤の頬をなでると、棺に背を向け、歩き出した。
霊廟の扉を開けると、眩しい陽の光が差し込む。愛美は思わず右手を上げて、目を細めた。
「ねーちゃーん!」
呼び声に頭をめぐらせると、陽だまりの中にアークが立っていた。
シルマリオンとフィランダーも顔を出して手を振る。
「おいで、アミ、一緒にお茶にしよう」
「きょ、今日のお茶うけは、く、クッキーだって」
へへー、といたずらっぽく笑って、アークが叫ぶ。
「早く来ないと、食っちまうからなー!」
愛美の唇に浮かぶ笑み。
「今、行く!」
元気に答えて、愛美は仲間達の元へ走った。
四人の胸元で、騎士の首飾りが、美しい聖光を放っていた。
CAST
聖剣の騎士 アーク
聖杖の騎士 若槻愛美
聖弓の騎士 シルマリオン
聖魔の騎士 フィランダー
聖剣の騎士 若槻篤
巫女姫 ディアナ
商人
神殿兵
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腐鬼のギュンター
呪鬼のバルタザル
破鬼のインゴ
冥王オスヴァルト
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監督 BEE(メェ)
キャラクターデザイン MEZASU(めざし)
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