★ここでは、ドゥーハンの酒場、「月夜亭」で饗されたメニューをご紹介します★


 
カレブ一口メモ「ぼくは、これ、好きだよ」

「特製レモネード」

本来は、新鮮なレモンを絞って作るのだが、現在新鮮な果物の供給が望めないので、保存されていたハニーレモンが使われている。

ハニーレモンは、作り置きが可能。レモン果汁1に対して倍のハチミツと混ぜ合わせて作る。
壷に入れ、冷暗所で保存しておく。

特製レモネードは、このハニ−レモンを湯、または、水で薄めて出来上がり。
香り付けに乾燥ハーブが使われているそうだが、企業秘密につき、種類は断定できない。

ホットの場合は、暖めた銅杯で、アイスの場合は冷やした銅杯でふるまわれるが、現在のドゥーハンでは、もっぱらホットばかりが注文される。

甘いため、男性には敬遠されがちなメニューである。


 

 
カレブ一口メモ「具は、あんまり深く考えない方がいい」

「一番安いシチュウ(正式名称 野菜シチュウ)」

本来なら、ホワイトソースで煮込まれるのだが、ミルクの供給が望めないので、干し肉でスープをとり、小麦粉でとろみがつけられている。

具は、ありとあらゆる野菜くず。塩で味付けされているだけだが、コトコト、コトコト炊かれている野菜くずから充分に甘味が出て、それなりの味わいになっている。

店主の機嫌が良いときは、これに薄くスライスされたチーズがのっている。
当たった時は、ラッキーと思うべし。

駆け出し冒険者は、たいていこれを注文する。


 

 
カレブ一口メモ「オークと戦った後には食べたくない」

「ハーブの利いたハムマリネ(正式名称 月夜亭特製ハムマリネ)」

ハーブの香りが食欲をそそる、さっぱりとしたハムのマリネ。
シンプルな料理だが、それぞれの素材の味を、存分に堪能できる。

粒マスタード、おろしたニンニク、塩、胡椒、白ワイン、オリーブオイルを混ぜ合わせたマリネ液が絶妙な味わいをかもし出す。

タマネギとニンジンのしゃきしゃきした食感と、こくのあるハムの味がなんともいえない。

このハムは、月夜亭特製で、三種のハーブと共に寝かせた一品。
ほんのりと香りが移ったハムは、いくらでも食べられる。
裏メニューで、このハムを使ったサンドイッチもあるそうだ。

冷たい料理なので、猫舌のあなたにオススメ。


 

 
カレブ一口メモ「すっごく香りがいいんだ。飲みすぎには注意」

「マルメロ酒」

秋摘みのマルメロを酒に漬け込んだ一品。
ハチミツ漬けや、ジャムとして加工されるマルメロだが、果実酒にしてもなかなかの物。香り高い極上の酒になる。
かすかに渋みと酸味があるが、それが飽きの来ない味を作り上げている。
甘味は、醸造のさいに添加したシロップ。

意外にアルコール度数が高いので、一般的に水で薄めて飲む。
淡い琥珀色の美しい酒で、愛飲する貴族令嬢も多いとか。

月夜亭の数ある果実酒の中でも、高い人気を誇っている。

ちなみに、マルメロとは、「カリン」の事。

喉にいいとされているので、吟遊詩人におごってやると、一曲聴かせてくれるかも知れない。


 

 
カレブ一口メモ「ぼくは、あらびきが好き」

「ソーセージの盛り合わせ」

三種類のソーセージを大皿に盛り合わせた物。
その為、数人で食べるのに適している。

香辛料の利いた荒びきソーセージと、まろやかな味わいの白ソーセージ、そしてサラミソーセージと全く違った三つの味わいが楽しめる。

荒びきソーセージと、白ソーセージは共にボイルされているが、食べ方が異なる。
荒びきソーセージはそのまま、粒マスタードをつけてかぶりつく。
白ソーセージは、ナイフで皮をとりのぞき、まろやかな中身と肉汁を味わう。
エールと合わせると絶品。熱い内に食べてしまおう。

サラミソーセージは、薄くスライスされており、そのまま食べる。
ただし、味が濃く、油分も多いので食べ過ぎに注意。
ほんの数枚口にするのが、正しい楽しみ方である。


 

 
カレブ一口メモ「チーズが焦げたところが、美味しいんだよね」

「ベイクドポテト」

小腹が空いた時に頼むのに適した家庭料理。
気取らず食べる事が出来る。

ジャガイモをぐらぐらと大鍋で煮立てた後、半分に切り、スプーンで中身をくり出す。この時、皮を破らないように注意しなければならない。
くり出した中身は全てボールへ入れ、塩コショウし、乾燥パセリを加え、混ぜ合わせる。
粘りが出ないように気をつけて混ぜる事。

全部がよく混ざったら、皮に詰めなおし、スライスしたチーズを乗せてオーブンでこんがりと焼き上げる。

一人前に、約二個のジャガイモが使われる。
素朴な味で、食べやすい。どこかしら、故郷の母を思わせる一品である。


 

 
カレブ一口メモ「ぼくは、糖蜜をたっぷりかけるタイプ」

「とうもろこしの粥」

優しい味わいの粥。
胃が弱っている時でも食べられる。

鍋で沸騰させた湯に、とうもろこし粉と塩を少しずつ入れ、煮詰めていく。
よくかき混ぜ、焦げ付かせないように注意しなければならない。
ぷつぷつと泡がはじけ、どろりと粘り気が出てきたら火を止め、よく炒ったとうもろこしの粒を混ぜ合わせ、深皿に移す。

あらかじめ暖めたオーブンに深皿を入れ、色よく焦げ目がつくまで焼き上げ、完成。
熱いので、木の匙で食べる。

焦げ目のついた外側はサクリとし、なかはとろとろ。
とうもろこしの甘味とうまみを存分に堪能できる。

食べる直前に、糖蜜をかける。量はお好みで。
飲みすぎで胃が弱っている時などは、とうもろこしの粒ぬきで作ってくれる。

注文を受けてから作り出すので、時間がかかるのが難点。
急いでかきこんで、火傷をしないように、注意。


 

 
カレブ一口メモ「食べる時にワクワクする料理だね」

「鳥のつぼ焼き」

素焼きの壷に、ぶつ切りにした鶏肉と、各種野菜、きのこをいれ、蒸し焼きにした物。
調理法はいたって単純だが、それぞれの旨味が交じり合ったなかなかの一品。

素焼きの壷に、少量の水と塩、そして鶏肉と、野菜、きのこを入れる。
野菜は、セロリ、ニンジン、タマネギなど香りの強い物を選ぶ。乾燥させたきのこはそのまま、小さく千切って一緒に入れる。
薄紙でふたをし、オーブンに入れて蒸し焼きにする。

このつぼ焼きは、ふたをあける瞬間がたまらない。
薄紙をとりのぞいた瞬間、鶏肉、野菜、きのこの香りが渾然となって鼻をくすぐる。

蒸しあげた為、鶏肉はナイフがスッと通るほど柔らかく、野菜もその栄養素がこわれていない。好みで、香辛料を振りかけて食べよう。

別注文になるが、南国風のパン(小麦粉と塩を水で練っただけの単純なパン)にのせて食べると、また格別の味わいがある。所持金に余裕があるのなら、ぜひ合わせて注文したい。

そして、忘れてならないのが、全ての具を食べた後に残ったスープである。ここに、この料理の真髄があるといっても過言ではない。鶏肉、野菜、きのこ、三者の旨味のエキスがこのスープに凝縮しているのだ。行儀が悪いなどと気にせず、壷に直接口をつけて飲み干そう。


 

 
カレブ一口メモ「飲むとね、なんだか心が落ち着くんだ」

「オレンジシナモンティー」

オレンジとシナモン、二つの香りが楽しめる紅茶。
大き目のティーカップで饗じられる。
なるべく癖の無い茶葉で淹れる、フレーバーティ。

ティーポットの中に、刻んだオレンジピール(オレンジの皮を砂糖漬けにしたもの)と茶葉を入れ、同時に蒸らす。
この時に、茶にオレンジの風味がつくという仕組みだ。
生のオレンジを使うのではなく、オレンジピールを使用するため、口にした時に微かに甘味を感じるのも特徴の一つ。筋金入りの甘党でもないかぎり、砂糖はたさず、このほのかな甘味を楽しんでもらいたい。

シナモンはスティック状のものを添えて出す。
これでかき混ぜればシナモンの香りをプラスする事が出来る。
軽い香りが好みなら、くるりと一度混ぜるだけで充分。深い香りを楽しみたいのなら、三回から四回かき混ぜよう。
紅茶好きにはなかなか人気の高いメニューである。


 

 
カレブ一口メモ「・・・春と、冬の味がした」

「新雪の野イチゴ仕立て リカルド風」

月夜亭の主人が秘蔵していた野イチゴの砂糖漬けを使ったリカルドのオリジナルメニュー。
リカルドの子供の頃の夢想がつまっている。

春つみの野イチゴの砂糖漬けは、ちょうど冬が食べごろ。
ケーキに使われたり、肉料理のソースに使われたりするが、リカルドはそれを新雪にふりかけた。

作り方はいたって簡単。よく冷やしたブリキのカップに、野イチゴの砂糖漬けをシロップごと入れておき、積もったばかりの雪をつめこむ。
野イチゴとシロップは雪の底に隠れているので、一見すれば何かわからないのがポイントだ。
添えてある匙で一混ぜすれば、とたんに雪は淡い紅色にそまるだろう。

野イチゴのシロップの甘さと野イチゴの酸味が細かな新雪と交じり合い、口の中に広がる。
野イチゴと雪の食感の差も楽しい一品。できれば暖かい部屋で食したい。
急いで食べると頭痛がするので、注意が必要だが、雪が解ける前に食べきってしまおう。

月夜亭の給仕娘達の間でもなかなか評判が高いらしく、紅茶や果実酒を使ったバリエーションが試されているそうだ。
そのうち正式メニューとして、登場するかもしれない。


 
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